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読解問題への取り組み方【精読のすゝめ】

こんにちは、武田塾新札幌校の竹本です。

受験科目の中で、読解といえば、現代文・古文・漢文・英文の読解が思いつきます。それぞれ、書かれる内容や使われている言語すら違いますが、これは全て、問題を解く上では「読解力」が必要である、という点で共通しています。では、その「読解力」とは何か。皆さんも様々な場面で、読解力の必要性を説かれることがあると思いますが、読解力とは具体的にどのような能力のことを指すのか、また「その能力はどのにして身につけるのか」ということについてはっきりとした考えを持っている人は多くはないと思います。そこで、今回は「読解力」の正体と、その身につけ方について書いていきたいと思います。

読解力の核=「精読」
読解力とは、いわゆる“文脈を読む”力のことだと言われることがあります。確かに文脈を読むことは、文章を読むうえで不可欠ですが、文脈とは一体どのようにして“読む”ことができるのでしょうか。実は、その答えは「精読」にあります。ここでいう「精読」とは、文の意味を正確に理解して読むことを指します。具体的には、文に含まれる文法・語彙などを理解して読めているか、それが「精読」出来ているかどうかの判断基準となります。対して、“文脈を読む”とは、文同士の関係(対比や、論と具体例など)や論理構造、文章全体から見たそれぞれの段落の役割などを理解することを言います。入試問題では、この“文脈~”の問われることが多いのですが、だからと言って「精読」が必要ないということは決してありません。なぜなら、文同士の関係や論理構造といった“文脈”を決定するためには、この「精読」が不可欠であるからです。これは、上で挙げた四つの科目全てに当てはまります。

「精読」の延長線上にある「速読」
英文読解でよく言われることですが、最近多くの大学の入試問題で、英文が長文化しており、受験生には英文をより早く読む力が求められています。受験生は、速読力を鍛えることを念頭においた学習をしていくことになります。しかし、この「速読」の意味をはき違えてしまうと、速読力がつかないばかりか、英語力そのものが伸び悩むことになりかねません。
速読とは、英語を“英語のまま”読むことだ、ということがよく言われます。この言葉はそのままでは意味がよく分からないので、より具体的な言葉に言い換えると、速読とは英語を“英語の語順で”読むことだ、という風になります。英語を英語の語順で読むなんて当り前じゃないか、と思う人もいるかもしれませんが、実は多くの人が、“英語を、日本語の語順に直して”読んでいます。例えば、「I play tennis.」という文を訳すと「私はテニスをする」となりますが、英語のままの語順で訳すなら「私は/をする/テニス」とならなければなりません。この訳し方ならば、「play/tennis」を「テニス/をする」とするような語順の入れ替えをせずに済み、左から右へと一方向に文を読むことができます。
しかし、この読み方で文章を正確の読む為には、文法(主語動詞の特定、修飾関係など)の理解が不可欠です。ただでさえ、母国語にはないルールで文章を読むのですから、そういった基礎知識がしっかりしていなければ、読んでいるうちに混乱してしまうのは間違いないでしょう。速読とは、文章を大雑把に要旨だけ掴むとか、そういった小手先のことではなく、「精読」の先にあるものなのです。

理屈は違いますが、これは現代文にも当てはまります。現代文でも、超長文に対応するためには、相応の速読力が必要です。しかし、だからといって、やみくもに速さだけを求めて、雑な読み方をしてしまっては、得点結びつくどころか、ますます遠ざかってしまいます。現代文の速読は、文字を目で追う速さを上げるのではなく、論理展開を追う頭を鍛えることで身につけることができるものです。例えば、論と具体例の判別、対比やその言い換え表現の発見、それら論理構造を見抜くヒントとなる言葉をいち早く発見して、あくまで論理的に文章を読む能力のことです。つまり、現代文でも、「精読」と「速読」は明確に区別されるものではなく、速読力とは精読を繰り返すうちに身につくものだと言えます。