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【教員育成の視点から】早期英語教育ってどうなの?!

こんにちは。武田塾大森校です。

小学校での英語教科化が施行されて

しばらく経ちましたね。

これはいわゆる早期英語教育政策ですが、

主に臨界期仮説というものに後押しされる形で

日本にも定着していきました。

臨界期に関する記事はこちらからどうぞ。



今日はそんな早期英語教育に関して

”教員”という視点からお話ししていこうと思います。

誰が教えるの??

小学校における英語教育は

主に担任教諭とALTによって行われます。

まれに中学校教諭や小学校の英語専任教諭などが

授業を受け持つこともありますが、

今回は一番よく見られる担任教諭とALTに

フォーカスしていきたいと思います。

担任教諭




小学校における英語教育で一番活躍されるのが

いわゆる担任の先生、担任教諭です。

メリットは??

担任教諭が英語を教えることのメリットは

児童にとって近しい人物に英語を教わることで

英語に対する抵抗感(情意フィルターと言います)が

低くなるという点です。



情意フィルターはくせ者で、一度高くなった情意フィルターは

なかなか下げることが難しいと言われています。

情意フィルターが高い状態での学習効率は悪く、

いかにフィルターを低く保てるかが子どもの英語力に直結します。

デメリットは??

担任教諭は英語が専門外であることが

デメリットとして挙げられます。



中高の教員であれば専任制を採っているため

英語教員は英語教育の専門家であると言えます。

しかし小学校の教員になるための資格取得に

英語の技能は必要ありません。



また、担当教員の負担をいたずらに増やしてしまう

ことで本来の業務に支障をきたす可能性もあります。

ALT




ALTとは、assistant language teacherの略であり

一人で授業を受け持つことはないが、主に担任教諭と協力して

授業運営に臨む人たちのことです。

メリットは??

ALTのメリットは何と言っても

生きた英語を児童が体感できるという点です。



ALTの中にはネイティブである者も多く、

そのような本場の英語に触れる機会は

児童にとって大きな影響力を持つことでしょう。

デメリットは??

ALTは英語が話せるというだけで

教育の専門家ではありません。

教育者としてのノウハウは決して保証された人材ではないのです。



また、せっかく研修などで教育者として鍛え上げても

数年で帰国してしまう人が多く、慢性的な人材不足でもあります。

日本の教員研修の実態

早期英語教育に関して日本で行われている

教員研修とはどのようなものでしょうか。

内容

日本の小学校教員向けの英語研修の内容は、

英語教育のあり方などの教育理論、授業づくりなどの実践方法、

などがメインとなっています。これらは独立行政法人教員研修センターに

よって行われるが、その後の中核教員研修などでは各地方の

教育委員会にその内容は委ねられます。


時間数

では、研修が実施される時間数はどの程度でしょうか。

先に紹介した独立行政法人教員研修センターの管轄している

研修では5日間、計25時間のカリキュラムが組まれています。



その後の教員研修は各自治体ごとに少しずつ異なるため一概には

言えませんが、国の管轄している教員研修は上記センターが実施しているものだけですので、

国としては5日間、計25時間の研修しか行っていないということになります。

海外の実情は?

例えば、日本と同じくアジア圏で

英語を外国語環境で学ばなければならない

韓国について見てみましょう。


圧倒的時間数

韓国では英語教育を小学校に下ろすにあたって、

20日間、計120時間の教員研修を行いました。

その後実務経験を積んだ教員に対し、40日間。計160時間の研修を施しています。

さらに優れた能力を見出された教員には120時間の深化研修が行われます。



教員によっては1000時間を超える研修を受けた者もおり、

当初は早期英語教育に批判的だった教員も多くいたにも関わらず

教育現場にほとんど混乱は起きなかったと言います。

研修に対する手当

そのような充実した研修ではあるが、

研修に当てる時間の多くは教員の休みを返上して

長期休暇などに行われるそうです。



一見休み返上となると教員の不満は高まりそうなものですが、

韓国の場合、40日間で20万円相当が手当として支給されるなど、

手当が充実しているため不満の声はほとんど上がらないのだとか。



そうした充実した保証もあり、韓国の教員は

キャリアアップのために積極的に研修に参加していると言います。

最後に

いかがでしたでしょうか。

早期英語教育のためには教員の育成が

必要不可欠ですが、現状はそう上手くも行っていないようです。

今後の改善が期待されるところですね。